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漫画『さよなら絵梨』のこと考えてたら体調崩した

shonenjumpplus.com

藤本タツキの漫画『さよなら絵梨』のこと考えてたら体調崩しました。

面白いとかつまらない以前に「漫画の中でドキュメンタリー風映画を撮る」というわけわからん構造で、強制的に「どこまでが現実でどこまでが嘘か?」を考えさせられ脳がキャパオーバーしてなんか普通に知恵熱出た。

で、これ以上は精神崩壊するので自分の中で「全部嘘」ということで無理やり納得しました。「1ページ目から最終ページまで全部そういう映画だった」と。

 

読者にネタバラシすることなく「劇中劇の中の劇中劇の中の劇中劇の中の劇中劇の中の劇中劇の中の劇中劇…」を延々とやってるだけ。実際は、優太も絵梨も母親も父親も、別に家族でも恋人でも友達でもなんでもないし、そもそもそんな人間はこの漫画の世界に存在しない。

役名「優太」「絵梨」を与えられたどこぞの「役者」が演じているキャラクターで、セリフも動きも全部台本で定められていて、優太がずっとスマホ片手に撮っているのもそういう演出。

そして、映画そのものがストーリーの時系列ごとに撮影をしているわけじゃないように『さよなら絵梨』も、おそらく実際の撮影時期はバラバラ。数十年後の優太の姿がめちゃくちゃ父親に似てるのも、実際に「優太の父親役の役者」が一人二役で絵梨のシーンを撮影して、その後に優太の父親役の役者は髪を切り髭を生やし、冒頭の誕生日のシーンを撮ったと言える。

同じロケ場所の撮影シーンは続けて撮るのが普通なので、長年のドキュメンタリーだと思われた親子3人のシーンも、文化祭のシーンも、絵梨とのシーンも実は数日で一気に撮られたと。むしろこの映画そのものが数週間ないし数ヶ月で撮られたもの。我々はそれを観させられてる観客。

 

ということは絶対クランクアップ後の夜にスタッフ出演者全員で打ち上げ行って叙々苑食ってますし、優太役の菅田将暉はスタッフに「菅田将暉さん!オールアップで〜〜す!!」とか言われてデカい花束渡されてますし、一夜限りのオールナイトニッポン復活で撮影裏話しますし、絵梨役の小松菜奈は撮影の空き時間にルービックキューブにハマってたことを後日TOKIOカケルで明かしますし、優太の父親役の松重豊は意外とNG連発してたことをVS魂でイジられますし、優太の母親役の吉田羊は撮影外ではムードメーカーだったことを映画.comのインタビューで監督から褒められる。

主題歌はミスチルかラッドですし、映画ポスターは出演者の顔がブロッコリーみたいに並んでますし、予告CMで試写会行った観客に感想聞いて「衝撃のラストでした…」「こんな映画観たこと無いです…」「涙が止まりません…」とか言わせますし、最後に全員で「この夏は!?さよなら絵梨〜〜!!」とか叫びますし、CMのナレーションは絶対に山寺宏一。

主人公は「一応」優太になってますが、あくまで優太という存在は「いちキャスト」でしかない。すなわち、その裏で全てを操り『さよなら絵梨』という映画を撮影した「さよなら絵梨製作委員会」こそがこの漫画の「真の主人公」だと…

 

…みたいなことずっと考えてたんですが、この時間…マジで何?

『さよなら絵梨』というか藤本タツキの最も狂ってるところは、どれだけその作品ことを考えても永遠に答えは出してくれないし、仮に出たとてどうしようもないところだと思うんですよ。それこそ「どこまでが計算でどこまでが天然か?」1ミリも分からない怪漫画。どれだけもっともらしいこと言っても妄想で自己満の域から出られない、考察厨すべてを灰にする悪魔の書。

『ファイアパンチ』『チェンソーマン』でさんざん体験したとおり基本的に伏線なんて回収されないと思ったほうが良いですし、回収されても理解できずちいかわみたいにアワアワするだけ。フェルマーの最終定理解いてるようなもんなのに「どうしてもなんか言いたくなる」ヤバい魔力が藤本タツキの漫画にはある。

『さよなら絵梨』も理不尽な死描いてシリアス装ってますけど、ボボボーボ・ボーボボ、すごいよ!!マサルさん、浦安鉄筋家族を真面目に考察するのと同じくらい無意味。優太よろしく

面白エエェェ〜〜!!ボガァアアアアアアアアアアアアアア〜〜〜〜〜ン!!!!!!

と、爆発させて全部忘れるのが健康上一番いい。さよならタツキ。