先日、藤井風のライブに行き、無事に発狂した。音楽やってねぇけど「音楽辞めてぇ」って気になった。「才能に背負い投げされる」とはまさにこのこと。なんかもう自分にムカついてきた。
辞書で「天才」って調べたら一行目に出てくるような男を目の前にして、なんで俺はコンビニでいっぱい買い物したのに会計の時にサイフ忘れたの気付いて店員さんに鬼みたいな顔されるアホヒューマンやってんだ?と。
が…そんな俺すらも「おまえは完璧」と肯定してくれるのが藤井風。
まず「藤井風のライブ」と言いましたが、厳密に言えばあれはライブであってライブではありませんでした。なぜなら、幕が上がるとなぜかステージ上には「藤井風の自宅」があったのです。
壁…階段…屋上…ドア…キッチン…ソファ…冷蔵庫…クローゼット…カーペット…庭…そしてピアノ、本来ならバンドセットが組まれるはずのステージにリアルすぎる「部屋」が建築されていた。
「藤井風が札幌に引っ越してくる」
という前代未聞の異常な演出。「毎公演これ運んでんの…?輸送費どうなってんだ…?」とザワついていると、暗がりからおもむろに現れるダッボダボのスウェット姿の藤井風。「自分磨きを始めてしまうんじゃないか」と思うほどあまりにも「素」。マジで「高校の友達の家遊びに行った」みたいな感覚だった。今すぐ「住所:札幌市」と書かれた藤井風の住民票の写しを俺にくれ。
当然、最初から最後まで音を奏でるのは藤井風たった「一人」。楽器隊もコーラスも不在、並のアーティストなら「なに見せられてんだこれ?」となりかねないリスキーな演出が、藤井風にかかれば圧倒的な「画」になってしまう。深夜の公園をフラついてそうな兄ちゃんが、鍵盤を鳴らせば地球が産み落とした宝「Fujii Kaze」になる。は?
どの曲をとっても「指30本あるだろ」としか思えない異次元の速弾きと、いっさい乱れない音程、「裏切りのブルースバラベレンベベルベレンベベレンババランバ」に代表される魂の叫び、そして何よりも文字通り「音を楽しんでいる」その表情。藤井風とピアノ、それだけで4630万の価値がある藤井風給付金だった。完全に見せつけられた。
MCでアットホームな雰囲気を醸し出して「風は俺のダチ」と錯覚させてからのこれ。俺の心をいったいどうしたいんですか?もう逆に帰りたかった。
途中、観客が事前に紙に書いてポストに投函した「藤井風に歌ってほしい曲」のリクエストに応えるクレイジー企画があり、うつ伏せで寝っ転がってスマホで歌詞確認しながらキーボードで即興で弾き語るんですが、まずあんなムチャクチャな体制でなんで会場中に響く声が出せるのか、藤井風の人体構造を疑いました。とりあえず「肺はメカだろ」と思った。
ちなみに、俺はなにがなんでも藤井風にラップを歌わせたかったので、SOUL'd OUT『TOKYO通信~Urbs Communication~』か、RIP SLYME『楽園ベイベー』か、Dragon Ash『Grateful Days』か、Nobodyknows+『ココロオドル』のどれにするか迷いに迷って結局、千石撫子(花澤香菜)『恋愛サーキュレーション』にしたんですが、残念ながら一曲も採用されず
…が、安室奈美恵『CAN YOU CELEBRATE?』、Leon Russell『A Song For You 』、玉置浩二『田園』、藤井風『帰ろう』、宇多田ヒカル『花束を君に』Mr.Children『HERO』…洋邦新旧カバーオリジナル織り交ぜた名曲の数々、ロト6一等に連続選した。
しかも、運悪く最後尾席に当たってしまった客のため、わざわざマイクを向けて直に会話をしながらリクエストを聞く「創造神」としか言いようがない対応をし、一瞬で最後尾席がプレミアチケットに変化。さらに中盤、藤井風の友達が家に遊びに来て、ピアノ弾き語りをする様子をスマホで動画撮影し、それを屋上のモニターに流すという謎すぎるくだりがあったんですが、斜め45度「誰もが岩に見える地獄の角度」で撮ってるにも関わらず「anan表紙か?」と言いたくなるほど、どの角度からも超絶イケ散らかしている藤井風の姿に「全てのスマホのカメラは藤井風を撮るためだけに生まれてきたもの」ということが証明されてしまい、すぐ自分のアイフォンのレンズ部分をハンマーで叩き割った。
後半は「おうちカラオケ」という名の藤井風ショーを存分に楽しんだ後、興奮しすぎてよく覚えないが
「You are perfect human……」
のようなことを言われた。あんまり年齢のこととか言いたくないですけど、年下に「おまえは完璧な人間だ」って言われてこんな嬉しいことがあるのでしょうか。
あの瞬間、会場にいた全員が藤井風に祈り捧げてた。ライブというか、もはや「ミサ」だった、ススキノのド真ん中に「藤井風修道院」建設したい。
1.Best part [Daniel Caesar & H.E.R.]
2.Weak [Post Malone]
3.Sunny [Bobby Hebb]
4.Circles [Post Malone]
5.ガーデン
6.きらり
7.優しさ
カバー
8.A Song For You [Leon Russell]
9.強く儚い者たち [Cocco]
10.田園 [玉置浩二]
11.Modern Girl [Sheena Easton]
12.CAN YOU CELEBRATE? [安室奈美恵]
13.Honesty [Billy Joel]
14.帰ろう
15.HERO [Mr.Children]
16.花束を君に [宇多田ヒカル]
17.キラーチューン [東京事変]
18.へでもねーよ
19.さよならべいべ
20.何なんw
21.ロンリーラプソディ
22.それでは、
23.青春病
24.燃えよ
25.Damn
26.まつり
27.旅路