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音楽の密売人・藤井風『Love Like This』感想

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M V 治 安 悪 す ぎ、何?

 

俺の中で藤井風の音楽って、夏の夜に田んぼのそばでカエルの鳴き声を聞きながら遠くの星を眺めてるみたいな、日常と永遠が交差する感覚。それを藤井風はたった4分ちょっとの曲でやってのけるんですよ。

『Love Like This』聴いて頭の中に浮かんだのは、宇宙の果てと家の裏庭を同時に旅するような感覚でした。

 

特筆すべきはプロダクションの「抜け感」。藤井風の作る曲ってメロディと言葉をまるでDNAの二重螺旋みたいに絡ませてくるんですけど、今回はめちゃくちゃ分厚いアレンジなのに、どこかスカスカな余白があるんですよ。

この余白が俺の心を自由に泳がせる。開放的で、でもどこか切ない。こんなサウンド藤井風以外に作れるやついる? いや、いない。どういう脳みそしてんだ、風。

歌詞も一貫して「愛」ってテーマを扱いながら、どこか宇宙規模のスケールと、友達と夜中にコンビニで語り合うような親密さを両立させてくるんですよ。

 

I'll never find another love like this, it's true

Baby, can you feel it too just like I do?

 

とか、かなり直接的な表現で一歩間違えれば陳腐化しそうなのに、そうならない。ハスキーで絹みたいに艷やかな声がそうさせてるんだと思うんですけど、同時に藤井風の歌詞って「メロディが呼んだ言葉」をそのまま形にしたような自然さがある。耳を飛び越えて脳みそに直接入ってくるみたいな感覚。

しかもこの曲って「めちゃくちゃデカい愛」を歌ってるのに、聴き終わると「風、なんかいいやつそう」って気持ちになるんですよ。藤井風が歌う「愛」は、恋愛とか家族愛とか、そういう枠を超えて、「生きてるだけで愛なんだぜ」ってメッセージに聞こえるからだと思ってて、デカいテーマなのにまるで押しつけがましくない。

普通のアーティストなら「愛」を歌うとき、どっかで気取っちゃうじゃないですか。ロマンチックに寄せすぎたり、逆にクールぶったり。でも、藤井風は違うんですよ。

愛って確かに「これ以上のものはない」って思える瞬間があるんですけど、その愛を「感じてる? 俺と同じように感じてくれる?」って、まるで飲み屋でたまたま隣に座った人に話しかけるような軽やかさで歌う。岡山育ちの土の匂いと、宇宙を漂う星屑のキラメキが共存してる。どういうことなんだよ。風。

ここが藤井風の怖いところで、こんな「人間臭い」曲を作りながら、どこか「人間離れ」してる。

近所のコンビニで350缶ビール買って家までガマンできないで店の前で飲んじゃってる兄ちゃんみたいな親近感があるのに、実際は藤井風がそこに突っ立ってるだけで絵になる、あの神話の神様みたいなオーラが漂ってる。この共存がめちゃくちゃ怖いんですよ。

サビのこのリフレイン

 

 I'll never find another love like this, it's true  
 I'll never find another love like this  
 Baby, can you feel it too just like I do?

 

「もう二度とこんな愛には出会えねえ」って叫び、切なさと希望が同時に胸を締め付ける。矛盾してるのに、めっちゃ自然。藤井風の声で「Baby, can you feel it too?」って囁かれたら心臓破裂しそうになった。俺の心のセキュリティ突破してくるな。

極めつけはラストのブリッジで

 

「Never, never, never love like this」

 

を連呼するパート。脳に直接インストールされるレベルの中毒性だった。気づいたらコンビニで「Never, never love like this…」って口ずさんでて店員にガン見されました。

確実にクスリやってると思われた。古今東西和洋折衷あらゆる音楽を自分の表現に吸収し再構築する、音楽の密売人・藤井風から買った麻薬音楽を。

 

『Love Like This』100年後も誰かが聴いて「愛ってこういうことか…」って涙流すんじゃないですかね。それくらい普遍的で、それくらい新しい。

そしてもう一つの魅力は、ライブで聴いたらどうなるんだろうって想像が止まらないところなんですよ。

風のライブって、音源だけでも十分なのに、生で聴くと魂がもう一個増えるんじゃないかってくらいのエネルギーがある。

風があの独特のグルーヴで体揺らしながら「That I'll never love like this」って歌ったら、会場全員が一瞬で恋に落ちるか、気持ち良くなって意識飛ぶか、どっちか。

たぶん両方ですね。

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