ずっと「間宮祥太朗」とはいったいなんだったのかを考えてる。
『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』というドラマにおける間宮の存在意義。これまで間宮のことをさんざん当て馬だ、当て馬じゃない、と吠えてきましたが結果、間宮はもちろん本命でもなければ、当て馬ですらありませんでした。じゃあなんなのか、
なんでもありませんでした。
リアル恋愛における「当て馬」とは本来「気のある相手を落とすために利用する気のない相手」のことを言うのですが、ことドラマにおいては
「最終的にヒーローとヒロインがくっつくための舞台装置」
としての役割のことを差す。当て馬という障害がいるからこそ、2人の炎はより強く燃え上がるのです。
会社や両親にまで婚約発表したのに元彼に全てを奪われた瀬戸康史、ずっと片思いされてる女と付き合おうと思ったらすでに実の弟に取られてた三浦翔平、結婚式当日まで迎えたのに友人代表スピーチで長々と告白されたあげく幼なじみと逃げられた藤木直人……
名だたるレジェンドアテウマー達は曲がりなりにも「あと一歩」のところまでヒーローを追い詰め意地を見せてきた…
が、間宮はどうだ…?終わってみればレース中、一度も玉森の前に出ることも横に並ぶこともなく完全敗北。いや、そもそもレースに参加してたのかすら怪しい…まず1秒たりとも「恋愛関係」になってねぇし、それどころか「告白の返事」すらしてもらってねぇ…
「お前がまた泣いてる気がして……」
と、玉森と別れた上白石に声をかけるシーンで9話が終了。もはや結ばれることはないが最後の最後にデッカイ花火上げてくれるんだな間宮…?上白石との関係はどう変わっていったんや…?上白石もさすがに少しは間宮のこと…とワクワクして最終話見たら
冒頭3分、間宮出てきませんでした。えっ?死んだ?
そして2人の関係は変化するどころか
「なんかよくわかんないですけど…急に現れて泣いてる私を励ましてくれました…なんかよくわかんないですけど…」
と言わんばかりに間宮に対して恋愛的になにも響いてない上白石。心ゴムでできてる?間宮だけを通さない絶縁体?
いや、9話どころか思い返してみれば1話から上白石は間宮のことを一瞬たりとも「恋愛対象」として見てなかった。上白石の脳内メーカーは「玉」のみ。そこに入る「間」は毛ほどもなかった。ヘタしたらコイツ間宮に告白されてることすら忘れてる。
そしてまた、玉森も間宮のことを1ミリも「恋のライバル」として見てねぇ。間宮のせいいっぱいの宣戦布告を受け「俺、負けないよ」と気ぃ使っていちおう返してはいるものの、実際はなんの危機感も持ってない。間宮のことなんざ眼中にすらない。その証拠に、上白石は幼なじみの倉科カナと玉森の関係をなにかあるたびに心配していたが、玉森から上白石と間宮の関係について問いただすような場面は一度もなかった。
たぶん玉森からすれば間宮は、
「よく話かけてくる人だな…ラーメン好きなのかな…」
くらいにしか思ってねぇ…
3人の立場が対等であるなら、社員全員の前で上白石と玉森が抱き合い永遠の愛を誓うシーンのその場に間宮がいていいはずがない。上白石と玉森の頭のなかに
「ここでイチャつくのはさすがに間宮に悪いよな…」
という思考がまるでない。このドラマに人権は存在しないのかと絶望した。「サイコな2人」とは上白石と玉森のことでした。周りに祝福されなければ気がすまない異常者。そしてそんなサイコパス野郎共にとって間宮は完全なる「モブ」…悲しいがこれが現実なんだよ…
仮にこのドラマに間宮がいなくても、上白石と玉森は勝手に付き合い、勝手に別れ、そしてまた勝手にくっついていたでしょう。間宮はただただ「それを見させられてた」だけ。立ち位置としてはなだぎ武と同じ。「起爆装置」としての立場すら直接的なキューピッド役となったミキ亜生に奪われた。
勝てないんだったら最後の最後で盛大に散ってほしかった…ほんの少しでも上白石と玉森の関係を揺るがしてほしかった…そう願ったまま、ドラマは終了した。間宮にはフラレて泣く権利すら与えられなかった。
しまいには、
「日めくりカレンダー作りましょうよ!」
「日めくりカレンダー作りましょうよ!」
と、狂ったファービー人形のように間宮の商品化を叫ぶ上白石の要望を受けマジでカレンダー化するという地獄オチ。
「ドS先輩のツンデレ日めくりカレンダー 〜毎日をキュンとする31のツンデレ言葉〜」
2月:どうせ悩むなら夢か夢じゃないかで悩むんじゃなくて夢にしてから悩め…
お…お前がこの世でたった一人の好きな女ために向けた言葉が全国にバラまかれて金にされて…本当にそれでいいのか間宮…?俺のなかの間宮が音を立てて崩れ去った。
それだけじゃねぇ…間宮が勝ちだの負けだのと騒いでいた俺の3ヶ月は完全に無意味だった…これを見ろ…
パラビで配信されているスピンオフドラマ『オー!マイ・ツンデレ! 恋は別冊で』…
本編の裏で、間宮と同僚・久保田のもどかしいほど純粋で不器用なやりとりが7話にも渡って繰り広げられ、最終話では3年の友達期間を経て互いが恋人になるまでが丁寧に描かれていた…
はじめから間宮をレースに参戦させる気などなかったという制作陣の意図がわかり、シンプルに発狂した。パラビなんて俺以外の誰が見てんだよ。
…上白石と玉森に対しても、間宮と久保田に対しても、とてもまだ祝福できる感情にはない…「間宮が幸せならそれでいい」という気にはなれねぇんだよ…。あるのは間宮という役を最後まで演じきった「間宮祥太朗」という俳優への尊敬の念、それのみ。お疲れ間宮…
ただ、もう俺はしばらく間宮を見ることができません。見ると泣きたくなるので…
次の間宮は、国家転覆を企てるテロ組織のリーダーか、金と命を天秤にかける狂った天才外科医か、自分ではいっさい手を下さずに人を破滅させる詐欺師か、依頼者の命令でのみ動く心を失った冷酷な暗殺者でお会いしましょう…
さようなら間宮…ありがとう間宮