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ミクスチャーブログ

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『古畑任三郎 VS SMAP』全アイドルグループやれ

「お前はこれから死ぬまで一つのドラマの1話しか観ることができない」と言われたら、絶対に『古畑任三郎 VS SMAP』を選ぶくらい愛してるドラマで、同時にこういう役を他のアイドルグループにも演じてほしいと心から願ってる。

SMAPの草彅剛はコンサートスタッフの冨樫(宇梶剛士)に脅迫される。以前から冨樫が草彅を脅していることを知ってるメンバーの中居正広、木村拓哉、稲垣吾郎、香取慎吾らは、コンサート会場で富樫の殺害する巧妙な完全犯罪を画策。

それぞれの個性を生かした芝居を打ちながら、冨樫を亡き者にする計画を遂に実行する。そして彼らのコンサートが始まろうとした時、冨樫が死体となって発見された。

捜査を担当する古畑任三郎は今泉、西園寺とともはSMAPの証言やアリバイの矛盾を探し出し、巧みに組み立てられた完全犯罪の仕掛けを暴こうと全面対決に挑む…

 

あらすじの全文字が興奮の材料。まず「アイドルグループが本人役で完全犯罪を画策」の時点で脳汁で溺れ死。好きなグループがいる人間なら一度は妄想して爆発する設定、それを実際に映像として味わえるという奇跡…

さらに、あらすじには書かれていませんが、

 

「SMAPは全員同じ孤児院の出身」

 

この設定の時点で目玉が溶けてる。しかも「一人のメンバーを守るために」という理由、仲間を傷つけるは何があろうと許さないという強い意思。これを「SMAP」が「実名」で「本人役」としてやるヤバさ。確実にファンを皆殺しにきている、こんなものは「死ぬ間際に見る夢」。

特に、木村拓哉が草彅剛に対して「お前が苦しい、だから俺たちも苦しい、それでいいじゃねぇか」と言っており、2023年に観て号泣しながら「俺が死んだ後、絶対にこのセリフを墓に刻み込みたい。」と誓いました。

そして「古畑SMAP」の特筆すべきは終盤の独白シーン、古畑はSMAPの特徴を

「責任感の強い彼か…

悩める青年か…

個人主義の彼か…

一見お調子者のムードメーカーか…

それとも…挑戦的なこの男か…」

と説明するのですが、このセリフだけでだいたい誰のことを言ってるのか日本国民のほぼ全員が理解できてしまう。この一瞬でSMAPがいかにとんでもないアイドルだったかが一瞬でわかってしまう。

しかも「三谷幸喜の考えたSMAP」の性格が完全にハリウッドザコシショウのやる「誇張したSMAP」で、SMAPだけどSMAPじゃないという絶妙なラインのキャラ設定なのが最高だった。

「責任感の強い彼」こと、中居正広は、現実の100倍自己犠牲心が強く、古畑に殺人がバレそうになると、独断で全部一人で罪被ろうとする格好良い男。好きなセリフは

 

「悪いけどあんた…地獄に落ちるよォ…」

 

「個人主義の彼」こと稲垣吾郎は、現実の100倍不憫で、一人だけアリバイ作りの負担がデカイのにダンスの振り付け急に変えられたり、一人でいる時間が多いせいでキムタクに裏切り者扱いされてガチギレされる可哀想な男。好きなセリフは

 

「言ったろ…?僕だってSMAPの一員だ…」

 

「ムードメーカーの彼」こと香取慎吾は、現実の100倍アホで、現場にうっかり指紋残しちゃったり、2ケタの算数ができなくてバカにされる見た目通りの男。好きなセリフは

 

「なんでそうやってリーダーぶるんだよ…そんなことして俺らが黙ってるってなんで思うかな…」

 

「挑戦的な男」こと木村拓哉は、現実の100倍調子乗りで「仲間を守るため」という根底はありつつも、一人だけ「完全犯罪とかマジ面白そう」とゲーム的なノリでやってるから後半ほぼ勝手に自白する、どうしようもない男。しかも、その手口がキムタクがソロで犯人役として出演した『赤か青か』と全く一緒なのが痛快過ぎる。好きなセリフは

 

「まぁその後は…ステージが待ってるから…ブリッといきましょ?」

 

「悩める青年」こと草彅剛に至っては、マジでただの悩める青年。とにかくメンタルが激弱で、絶対にアリバイ作らなきゃいけない役なのになんか勝手に犯行について全部台無しにする不幸な男。好きなセリフは

 

「みんな…ありがとう…」

 

全員が本物よりも100倍未熟だが愛おしいニセSMAP。リアリティとフィクションのバランスがとんでもなく絶妙で、このドラマを見てから本物のSMAPのライブを観るたびに「裏で誰か殺ってから来たんじゃ」と思うようになってしまいました。

 

そんな未熟SMAPの完全犯罪計画は、実際やってみるとボロだらけで「絶対に犯行に参加しちゃいけない剛が勝手についてくる」というスタート時点から失敗してるコブクロの君が代みたいな状況で、剛は犯人に肩掴まれて腕上がらないくらいのケガするわ、コンサート直前に勝手に『青いイナズマ』の振り付けを変えなきゃいけなくなるわ、剛のアリバイ作りのために明らかなウソ言わなきゃいけなくなるわと「ずさん」そのもの。

しかも、相手は一瞬でも目つけられたら逮捕確定の「古畑任三郎」。相手が最も嫌がるタイミングでわざと現れたり、不自然に距離つめてきたり、明らかに分かってる当たり前の事実をわざわざ相手に言わせたり、決定的な証拠を出させるためにあえて泳がせたり、犯人が気の毒になるほど徹底的に精神攻撃してくる悪魔。

古畑にかかれば、SMAPにボロを出させることなどイージーモード。事実を隠すために嘘をついて、さらにその嘘を隠すためにまたひとつ別の嘘をついて…と、どんどん泥沼にハマっていく。

この「犯人へのダル絡み」こそ、古畑の一番面白い部分なんですが、これを好きなアイドルにやられたときの感情「天国と地獄」以外の何者でもなく、とんでもなくゾクゾクする。

 

SMAPの苦しむ姿を見ながら1秒ごとに、

「…お願い…もうやめて…とっくにSMAPのライフはゼロよ…もう勝負はついたのよ…」

と泣いてる俺と、

「ヒヒヒィ……いいぞォ…もっとやれ古畑ァ…もっとSMAPを追い詰めてやれェ…その表情こそが俺のなによりの栄養になるゥ…」

とニヤつく俺が交互に現れてしまう。その時の俺の顔面、完全なる犯罪者予備軍。古畑さん今すぐ俺を逮捕して下さい。

 

ぜひ一度『古畑任三郎 VS SMAP』を観て、SMAPのヤバさを体感するとともに、好きなグループが本人役で犯人やってる妄想をしてみて下さい。お察しします。